中国温泉探訪記
9月10日のブログ「友遠方より来る」で紹介した、
「中国温泉探訪記」 をやっと読みました。
私の旧友、桂博史さんの力作です。
桂さんは写真家でジャーナリスト、プラス
「温泉民俗研究家」
この本は、桂さんが10数年にわたって
広大な中国の歴史上の温泉を訪ね歩いた壮大な記録をもとに書かた書物です。
彼は、私が知り合った1970年代から、日本の温泉のルーツとも言える秘湯を取材していました。
私が新婚旅行で行った十和田湖のホテルに突然現れて、私たちを秘湯中の秘湯「田代元湯」や「酸ヶ湯(すかゆ)」「青荷(あおに)温泉」などを一日かけて案内してくれました。もう26年も前の確か今日(10月5日)のことです。
「青荷温泉」では、私たちだけのために露天風呂でお酒を浮かべて写真を撮ってくれたものです。
もっとも、その二人のヌード写真??は「ナビゲーター」という旅行雑誌でちゃっかり使われてしまいましたが・・・。
「中国温泉探訪記」は、その名から受けるイメージとはかなり内容が違います。
これはもう、
「温泉学」 とでも呼ぶべき、温泉の原点を探求する書物と言えます。
著者が書いたあとがきに次のような一節があります。
「温泉の旅が歴史とかかわりを深めるにつれ、多くの日本人が日本は歴史的な温泉大国だと自負を持っているわりには、本質的な温泉の歴史や意味、学問的な思考研究がなされてこなかったことに物足りなさを感じた。現代人が温泉といい温泉であると信じているものは、文字は同じ「温泉」でも、われらがご先祖様の認識していた「温泉」とは必ずしも同じ事象事物ではないことに気づいていた。」
彼は、まさに日本の温泉のルーツ、原点を求めて中国を旅したのでしょう。
そして、膨大な記録をもとにこの「中国温泉探訪記」を発刊したのです。
「権力者の思想としての温泉」「農民の生活と不可分の温泉」そして現代中国において
「観光化していく温泉」がみごとに描かれています。
旅行記などと思って読むと、いささか疲れますが、
私たちが日頃楽しんでいる
温泉のことを「一度深く考えてみよう」という方には
是非お奨めの書です。
岩波書店から発行されていますので是非読んでみて下さい。
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